百獣の王ライオンが望む全ての国民が平和で安心できる幸せな国は実現可能なのか?【イソップ物語】
今回はイソップ寓話の一つ「ライオンの王国」の話です。
動物たちの頂点に立つ百獣の王ライオンは、自分の王国に住む全ての国民が幸せで平和に暮らせる国にしたいと思い立ちました。
弱肉強食が当たり前の食物連鎖の動物界で、それは不可能なハズなのですが、どうやらライオンの王はそれに気づかず、全ての動物たちの前で布令を出してしまいました。
物語では、その後どうなったかは書かれていませんが、結果は不満や不信感が高まる分、現状よりも酷い状況になる可能性の方が高そうです。

全ての国民が幸せで平和に暮らす国。
そんな夢のような理想の国は世界のどこかに存在するのでしょうか?
今回のお話は、世界中の獣たちを統べる王様ライオンが考えた争いの無い平和な世界にする国の法律についてです。

ライオンが、この地上の百獣の上に君臨していた時には決して圧制でもなく、乱暴でもなくかえって王様らしい寛大な柔和な君主だった。
この獅子王の御代に諸獣の総会を開き、大小強弱に依らず万獣は同等に平和を楽しむべしという布令が出た。
狼と子羊も、虎と鹿も、豹と牛も、犬と兎も、みんな一緒になって永久変わらぬ友情と平和を楽しむことになった。

その時、兎が言うには「あぁどうもありがたいご時世になったものだ、私たちは長い間どうかして私たちの様な弱い者も強い者を恐れずに暮らして行ける世の中になる様にと、そればっかりを望んでいたのだからなあ」

全ての獣に対して平和な暮らしが約束されたライオンの王国は、今後繁栄するのでしょうか?
答えは不可能ですよね。
なぜならライオンなどの肉食動物の食料は兎などの草食動物だからです。
兎の唯一の望みは、国の未来を予想すると絶対に叶うことはありません。
肉食動物は草食動物を食べないと生きてはいけません。
もちろん、肉食を許可すれば草食動物たちの安全な生活は約束されないのです。
素晴らしい理想でも、絶対に叶えられないことは安易に提案してはいけないという教訓ですね。
今回のお話はここまで。